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中島卓偉「アコギタクイー記憶再生ー」セルフライナーノーツ

「Dearest Friends」
1999年、20S CALBORN収録。レコードでイントロのテーマとなっていたギターフレーズをカルテットに弾いてもらうことによって、曲全体をカルテットの存在感を生かしたアレンジを施しました。ウッドベースも16ビートを主張するのではなく、サスティンを出来る限り有効に使い、ビートを出すと言うよりは歌とアコギに「添える」というグルーヴをドラムと共に作ってもらいました。バッキングはGIBSON J-45とEPIPHONEのTEXANをダブルテイクに(アルバムはすべてこの2本でレコーディングしています)アコギ12弦を高めのレンジに配置。今回のアルバムで勉強になったのはアコギはエレキと違って何本重ねても役割がはっきりしてれば干渉し合わないんだなということがわかり、BメロなどではCmの音を1カポにしてBmのポジションにして弾いたものを足してあったりします。いかにたくさんのフレーズでレンジを広げ響かせるかにとことんこだわりました。

デビュー前の1998年、バンドを解散しソロとなって歩き出す時、当時のバンドのメンバーや仲間に宛てた別れと始まりを意味する歌ですが、この曲を書いたのはもう14年も前。歌詞と同じようにいくつもの想い出が走馬灯のように蘇り、歌録りの時は感傷深くなりました。大切な歌です。
 
「PUNK」
2002、CHUNKY GOD POP収録。 ライブでもやらない日はないと言っても過言ではないくらい自分のライブにはかかせないパンキッシュなナンバーですが、一人でアコギライブをやるようになったこの3年の間に何回もこのアレンジで歌ってきたので、この雰囲気の完成形を2012年版として作ろうと思いました。リズムはスタッフとレコーディングメンバーによるクラップとステップの多重録音。それとスタジオにあったゴミ箱、ギターのハードケース、空のドラムのケースをぶっ叩いた音も入っています。ロックンロール色を強める為にブルースハープも吹きました。テンポの早い曲をアコギでブルージーにプレイする、これこそアンプラグドな在り方かもしれません。コーラスもスタジオに来た人には全員歌ってもらいました。常にどんな曲もこんな雰囲気とテンションでレコーディングをしていたのでその楽しさが繁栄された感じがしてとても気に入っています。
 
「BADLY NOOOO!!!!」
2000年、NUCLEAR SONIC PUNK収録。去年の年末のツアーでドラムの石井悠也くんとアコギ弾きながら歌うというセッションを行っていたのですが、評判も良かったし、何よりプレイする自分も楽しかったので、今回のアルバムにその進化系を録音しました。クリックを使わず、スタジオでガラス一枚隔てた状態で悠也くんとアイコンタクトを取り、自分も弾きながら歌い、二人で一発録りしました。ライブでやっていただけあって2テイク目でこのグルーヴを出せたので、この後ドラムのチューニングをいじって3テイク目を録りましたが、やっぱりこのテイクが最高だということになり、コーラスを重ね一気に仕上げました。 アコギとドラムだけでこれだけロック出来たら言うことありません。新たな可能性を感じた最高なセッションでした。
 
「Without You」
2004年、POWER TO THE MUSIC収録。ドラムが鳴ってるように聴こえるかもしれませんがすべて自分のボイスパーカッションです。キックは自分で「ブン!」とか「ドゥン!」とか「ボン!ボン!」などと口で言ったのを重ねてベードラ扱いにし、スネアは「パーン!」やら「ツァー!」やら「テェー!」やらを重ねて2拍目と4拍目に貼ってます。ハイハットも自分で「ツッツッツッツッ」と4章節を口で言ったものをループさせてます。普段デモを録音する時もドラムを打ち込むのが億劫で口でドラムを録音し、本チャンのレコーディングでもドラマーに口でドラムフレーズやパターンを伝えたりするので、その発想をそのまま形にしました。 ベースレスを補う為にDドロップチューニングにしたアコギをAダッシュからサビにかけてハーフミュートで弾いて重ねてあります。あえて錆びて死んだ弦で録音しました。その方が低音が出るし、自分はもともと張り替えてすぐの弦の響きより、なんなら古くて錆びて死んだ弦の響きのほうが好きだったりします。ライブでは張り替えますがレコーディングではあまり弦は張り替えません。

アウトロで新井たけしくんが弾いてくれたスライドギターが映画「パリテキサス」のライクーダーみたいで好きです。
 
「言葉に出来ない」
2004年、VIVA ROCK収録。すべて自分の声だけによる一人アカペラ、一人ドゥーワップ、一人ゴスペル、一人ビーチボーイズ、中島一人合唱団と言ったところでしょうか。一体何人の俺の声が録音されたかわからないくらい何声も重ねてあります。とても大変な作業でしたがこれは本当に楽しかった。楽器がなくても出来るんだとこれが完成した時は感動しました。いつかこういう楽器を一切使わないアカペラで録音したアルバムを作りたいという夢も芽生えました。
親父は英語の教師だったので車の中ではいつも英語のコミュニティラジオが流れており、夏になるといつもこういうアメリカの50年代から60年代初頭にかけてのビッグコーラスのバンドの曲が流れていたので、その時聴いた音、雰囲気、それを目指しました。歌詞も夏の終わりがテーマになっていてこの時期にはぴったりかもしれません。大好きな曲です。
 
「HELLO MY FRIENDS」
2005年、SINGLE。今年の春に渋谷BOXで行ったライブテイクを収録しました。これを録音するにあたって歓声が小さいと今一つなライブテイクになってしまうので、この場に来てくれたファンの方々にどこで歓声を出せばいいかすべて指示を出し、軽く練習してからのテイクとなっており、個人的にはLIAR TAKEと呼んでいます。掛け合いも含めそのヤラセ感がたまりません。(笑)この曲もアコギ一人で歌うとなるといつもこのアレンジになり、いつかこれを進化させたアコースティックバージョンもレコーディングしたいなとも思います。
 
「あなたの笑顔が見たいから」
2011年、アルバム未収録曲。去年初の写真集を出した時に特典としてこの曲のレコーディング風景をDVDにして収録していましたが、たくさんの方々にCD化を望まれたのと今回のアコギタクイのテーマとしてはぴったりの曲だったので、新たにリミックスを施し収録に至りました。去年震災後に自分に何が出来るかを自問自答し、この曲が生まれ、被災地での支援活動の中でも何度も歌わせてもらいました。この曲が入ることにより歌詞の世界観も含めアルバムがグッとしまった気がします。
余談ではありますが、この曲をレコーディングする時は本当に時間がなく、ギター3本、ギターソロ、そして歌とコーラスを40分で録音し、その場でミックスを完了させ、録りからミックスまで2時間半で完成させました。まさに余談でした。
 
「BLACK SIDE IN THE MIRROR」
2001年、SINGLE FREE FOR FREE B-SIDE。これはなんと言っても鈴木けんじくんが弾くウッドベースの勝利でしょう。ナイススラップ。悠也くんとけんじくんにロカビリーにしてくれというテーマを伝え、ベーシックは一発録りです。歌も同時に録りました。雰囲気を出す為に録る時からショートディレイをかけて歌いました。この曲はレコードと同じテンポで形だけがアコギでありロカビリースタイルであるというアレンジにしました。去年のツアーでバイオリニストの雨宮まみこさんが作ってくれたカルテットのアレンジが非情にかっこよかったので、そのままをダビングで弾いてもらいました。明るくポップな曲も好きですがこういうマイナーでリフで突っ走る曲もライブではかかせません。やり続けてきてようやく味が出てきた気がします。
 
「ALL ALONE」
2002年、SWANKY GOD POP 初回限定特典CD、アルバム未収録曲。リリースしてからの約10年、今までにいろんなアレンジでプレイしてきましたが、自分一人でやる時のアレンジをベースに、パーカッションとフレットレスベースとアコギのリードが絡み合い、フレーズやグルーヴに決まり事は作らず演奏しています。テンポチェンジまではクリックを使い、そこからは別テイクでクリックを使わずアウトロまで演奏した2テイクを繋げてあります。歌もアコギも同時に録音しました。この先もどんどん進化して行くそんな予感がする曲です。
 
「Calling You」
2001年、SINGLE。この雰囲気の曲は他にもSTAY TOGETHER、NEVER FADES AWAY、存在など、いろいろアレンジしデモも録音しましたが、やはりこの曲を収録することに決めました。出だしは一人多重録音によるアカペラで、バッキングコーラスは5声ダブル、主旋律のメロディーは3声トリプルにして厚みを出してあります。レコードよりももっと壮大なアレンジを目指し、カルテット、パーカッションも存在感あるアレンジに、そしてドラムもしっかりビートを出してもらいました。間奏からフレットレスベースがソロを取ります。ギターはDADGADの変則チューニングでGIBSONのJ-45でダブルテイクに、きらびやかな部分とコード感は12弦ギターで出しています。長く歌ってきた曲だけに歌録りも歌詞など見ずにライブの時のような気持ちで歌うことが出来ました。デビュー前から歌い続けて、自分の一番近くにいつもいてくれた曲、このセルフカバーアルバムもこの曲がいてくれたからこそ実現したのかもしれません。
 
「X-RAY MAN」
2001年、SINGLE Calling You B-SIDE。アルバムで一番アレンジを遊んだ曲かもしれません。このリフで別の曲作っとけば良かったなと思います(笑)一人でアコギでやる時は毎回アレンジは変えていたのですが、レコーディングも終盤に差し掛かり、レコーディングメンバーともグルーヴが完璧に噛み合ってきたのもあって、スタジオでその場でアレンジを考え、その都度メンバーに伝えながら構築して行きました。これもクリックを使っていません。サビの突っ込んだギター、Bメロのためにためたリズム、それぞれの楽器がお互いに合わせにいかない間奏のグルーヴ。クリック無しならではだと思います。軸はパーカッションの小宮山くんありきで成り立っており、歌詞の世界観も手伝ってインダストリアルな曲に仕上がったと思います。これこそアンプラグドであり、ツェッペリンぽくもあり、後半にカルテットが入ることでクラシカルでもあり、アウトロで全員がユニゾンでリフを弾き倒すところはミックスで聴いて鳥肌が立ちました。 こういうカオスな感じの悪い雰囲気の曲、好きです。
 
「BLACK HOLE」
2006年、傘をささない君の為に 収録。レコードではプリテンダーズやスミスのようなアレンジと雰囲気でしたが、もうちょっと黒っぽく、ベースもグルーヴをキープするんじゃなくランニングベースでメロディアスに、マイナーではありますが雰囲気はロックンロールに、そのへんを意識しました。この曲で今回初のアコースティックベースを弾きました。独特な質感がレンジの奥行きを出してくれた気がします。歌詞を歌うんじゃなく歌詞を叫ぶように歌いました。この曲は一人でアコギで歌っても自分を熱くさせてくれます。本来こういう歌詞のことを、こういう歌詞でシャウトすることをPUNKというのではないでしょうか。 少なからず自分はそう思っています。
間奏明けから来るスタッフとメンバーで叩いたハンドクラップが何故か物悲しく聴こえて好きです。パーカッションでとことん跳ねてもらい、ドラムはベードラを踏まず、フロアタムとスネアだけを叩いてもらっています。 もっともっと歌い続けて、もっともっと進化させたい、そんなロックンロールナンバーです。
 
「めぐり逢えた二人」
未発表曲。書いたのは18歳の頃なのでアルバムでは一番古い曲になります。ちょいちょいライブではやっていましたがレコーディングしたのは今回が初です。全編ガットギターでレコーディングしました。歌とコーラスとガットギターだけのシンプルなミックスになってます。どんなに激しい曲を書いて歌っても、こういう曲を書き続ける自分でいたいと思っています。アルバムのこの位置、13曲目にぴったりな曲だと思います。今回のアルバムで一番最初にレコーディングした曲です。
 
「鼓動」 
2004年、VIVA ROCK収録。HELLO MY FRIENDS同様、春に行った渋谷BOXのライブテイクです。ひたすら右手で高速カッティングを続けるのでやり過ぎると腱鞘炎になります(笑)いつもサビは敢えてテンポを落として歌うようにしています、一人アコギだから出せるグルーヴかもしれません。この4~5年ライブでやり続けてどんどん激しくスリリングなアレンジに変わって行った気がします。歌詞が好きです。
 
「3号線」
2011年、SINGLE。セルフカバーアルバムを製作するにあたって、最初は古い曲を中心にセレクトしようと思っていましたが、どうしてもこの曲は入れたいと思いました。自分の音楽活動のスタートとなる時期に書いたDearest Friendsで始まり、今一番自分にとってリアルな3号線で終わる、そんな構想が浮かびました。この曲はリリースしてから必ずライブの最後に歌っており、一人のアコギライブでもその時にしかありえない(出せない)アレンジでプレイしてきましたが、この曲も自分がアコギで歌ってるところにバンドに着いてきてもらう、そんなアレンジをレコーディングメンバーに伝えました。この曲はカルテット4人、ドラム、しまおかだいすけくんによるピアノ、そしてアコギ弾きながらの歌を同時に録音し、後にまきたたくまくんにアコースティックベースをダビングしてもらいました。鍵盤を入れたのはアルバムの中でこの曲だけです。同時に録音するとやり直しがききませんが、しまおかくんとはピアノとアコギだけでのライブもやっていたので見事2テイク目でOKテイクに出来ました。一番最後のアコギのアルペジオはトライセラトップスの和田さんがアコースティックライブで弾いているのを見て、そのライブ終演後に直接楽屋で教えてもらい、それ以来一人のアコギライブでは必ずああ弾いてアウトロを締めくくっています。この曲を聴き終えるとアルバムが着地した感があります。

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